読みもの
2025.12.01
思い出話
2025年の年末。
過去を振り返ります。
2023年8月、先代住職の妻磯江靜子が他界しました。岡益の地に生まれ、育ち多くの方とのご縁をいただいた人生だったのではないかと感じています。長通寺檀信徒の皆様だけでなく、祖母とのご縁のあった多くの皆様に厚くお礼を申し上げます。
気づけば一年は早いもので、今年3回忌を終えました。お葬儀の時の出来事を思い出すと、慌ただしく、また大雨警報のアラームが鳴るなかでのお通夜、お盆明けの告別式と、式を執り行うことで精一杯だった記憶ばかりです。
これは、祖母のお葬儀だけではなく、皆様が同じような思いなのではないだろうかと感じていました。故人様とのお別れの大切なひと時、生前の姿をゆっくりと振り返る時間、有るようで無いような時間。
そう感じている中でお葬儀での打ち合わせの時間に必ず「思い出話」を聞かせていただく時間を設けるようにしています。
お戒名を付けさせていただく際「戒名はなくても良い」というようなご意見をいただくことありますが「戒名」はもちろん仏様のお弟子様となられるためのお名前でもあります。それと同時にこの世に残させた私たちが生前の故人様を「思い起こしていただくお名前」「生前の姿を表す」のが戒名ではないかと考えています。私の考え、思い出ではありますが。
そうした中で、大切になって来るのが、この世にいる私たちの「思い出話」です。
「故人様はどのような人柄でした?ご趣味は?」など聞かせていただきますが、じっくりと振り返る時間は有りそうで、無いものです。
「どーだったかなー」「何が好きだったかなー」それぞれじっくりお話を聞かせていただくと「そーいえば」というように思い出話をお話いただけます。
そしてそのお話を参考に「故人様にピッタリなお戒名」を考えさせていただくようにしています。
「改めて振り返ると色々有るなー」「こんなところもあったな」「えーそうっだたかな」
など話は膨らみ「お葬式で忙しいときに、いい時間いただきました」と言っていただくことも多く有ります。お葬儀の打合せ、ただ日程や流れを決めるだけの形式的な時間だけでなく、慌ただしいなかに少し「ほっと」し、思いを出す時間になっていただけると幸いです。
私自身が身をもって感じた「故人様を振り返る思い出話」ご供養は亡き人にするものだけでなく、生きている私たちの為にもご供養は有るのではないでしょうか。
手を合わせたその先に、故人様、ご先祖さまのお姿を見ていただき、私たち自身、自分自身の命、歩みを見つめていきたいものです。
長通寺住職 磯江 紹元 合掌
11月1日 子どもの通う幼稚園の年長さんが、長通寺に遠足で坐禅を体験しに来てくれました。「こんにちはー」みんな元気が良く、こちらも元気をもらいながらの出迎えとなりました。
長男は自分のお寺に遠足で来ると言うこともあり、照れながらもどこか緊張した様子。
町中の幼稚園へ通っているので、他の子ども達は「カエルがいる、カメムシがいる」など珍しいようで、興奮気味でした。
その中始まった坐禅体験。お泊まり保育でも坐禅を体験しているのでみんなが慣れているようで、得意げな表情をしながら「知っとるー」と教えてくれます。
山の中の珍しい環境で興奮していた気持ちも、一転、シーンと気持ちを切り替え坐禅に取り組む姿は大人顔負け。
ふと入り口を見ると、綺麗に揃えられた靴が目に入りました。
「すごいな、しっかりしてるなー」と感心しながらの一時となりました。
坐禅をすると心が落ち着き、調います。はき物を揃えると心が調います。
「はきものをそろえると」 藤本幸邦老師の詩
はきものをそろえると
こころもそろう
こころがそろうと
はきものもそろう
ぬぐときにそろえておくと
はくときに心がみだれない
だれかがみだしておいたら
だまってそろえておいてあげよう
そうすれば きっと
世界中の人の心もそろうでしょう
2022.10.01
お参りしやすいお寺に
今年のお盆前。
お寺の玄関から本堂にかけて「スロープ」が完成しました。
昔ながらの作りのお寺の為、段差が多く、その段差も大きく、お参りいただく方からは
「お参りするのも大変だね」
「車椅子できても手伝ってくれる人がいないと上がれなくて迷惑かけてしまうから、お参りはやめとこうかな」
「足の調子が悪くて今回はお参りできないです」
という声が多くなってきていました。
なんとかできないだろうか。
と考えていたなかで、数年前から案を出していましたが「スロープを作ってほしい」という具体的な要望をいただき「いつまでも先延ばしにしていてはいけないな」ということで、今年のお盆に間に合うように取りかかり、護持会役員の大工さんに依頼、相談をしながら完成することができました。
完成をしたら、さっそく「いいのができてるなー」「助かります」という声をたくさんいただき、多くの方が求めておられたんだなと実感するお盆となりました。
まだこの場所には「手すり」が着いていないので、もうしばらくお待ちください。
お寺の入り口も段差が大きく、今後改善をしていかなければならない場所が多くありますが、
「お寺ってお参りしづらいのが当たり前」から、
「お参りをしやすいお寺」に少しでもしていけるようにしていきたと考えていきますので、ご意見などありましたらお気軽にご連絡ください。
2022.05.01
こいのぼり
新学期が始まる4月。
「こいのぼりいつあげるー」という声を毎日聞くようになりました。
毎日幼稚園へ通う道中のお家にこいのぼりが上がっていると
「なんでうちはまだなの」
「おじいちゃんやおじちゃんに手伝ってもらって上げるんだからね」
「えー今日僕があげる」
「みんなでやらないと、竿は重いからね、待ってね」
と言うやりとりが毎日くり広げられ、説得してもなかなか聞いてくれません。
しかし、そう思うのも無理もありません。今までは子どもたちが幼稚園へ行っている間に、竿上げをし、帰ってきたらこいのぼりが当たり前のように上がっていたので、鯉のぼりを上げることがどれだけ大変なのか知りませんでした。
「簡単にこいのぼりを上げられる」と思っていた長男。
「今年は竿上げの日は幼稚園お休みして手伝ってくれる?」
「うん、手伝う」
それから毎日、竿上げ当日を楽しみにわくわくしていました。
竿上げの朝、楽しみに早起きをし、5、6人の方に手伝っていただき上げるので、人が集まると興奮気味です。
竿を運び、紐を引っ張り、トンカチで金具を打ち、やっと思いで上がった鯉のぼりを嬉しそうに眺めていました。
今までは帰ってきたら上がっていた「こいのぼり」
初めて自分も手伝い大変さを知ったでしょう。
疲れきって眠そうにしている顔を見ていると、多くの人に支えられて生きている、そんなこと実感した一時となったのでしょう。
私が長通寺の住職を勤めさせていただくこととなってから5、6年ほどがたちました。その間いろいろなご意見をいただきお寺を良くしていこうと取り組んできましたが、一番の課題でもあった部分がホームページの作成でした。そして、この度多くの方のご協力をいただき長通寺のホームページが完成しました。
ホームページ、インターネット上の名刺、または玄関口のような大きな役割を持っているのではないかと考えています。私自身、出かけようと思ったときどこへ行こうか、または、目的地はどんなところだろうか、と思ったとき真っ先にインターネットで検索をし、そこのホームページを見ます。やはりホームページがあると安心感がありますし、何より行ってみたいと思います。長通寺というお寺を知らない方、初めてという方には、お寺がどのような場所か、どんなことをしているお寺なのかを少しでも知っていただくと共に、御檀家様には、お寺の行事、法要、坐禅会、写経などの活動を知っていただき、さらにコラムなどの読み物を見ていただきお寺を身近に感じていただければと考えています。
しかし、このインターネットの世界「オンライン」の世界だけだと本当の意味での関わりは深くはなっていかないのではないでしょうか。やはり、私たちが関わり合って行くのは人と人との繋がり、心と心の繋がり、その距離を近くしていくのはインターネット上ではない「オフライン」の世界、この今生きているこの世界が大切であると感じています。
「オンライン」で長通寺というお寺を知っていただき、その先にある人と人との関わり、坐禅体験や写経体験、お葬儀、お法事もそうです。それらの活動を通して「ご縁」が広がり「心のよりどころ」となるお寺を目指して「オンライン」と「オフライン」の両輪で歩んでいきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。



